長距離・大学駅伝

第97回箱根駅伝往路結果を振り返ろう

2021年1月3日

箱根駅伝の往路結果を振り返りたい!

箱根駅伝の往路が終了しました。今年は波乱の展開、そして結果となりました。

5強と言われていた青山学院、東海、駒澤、明治、早稲田のうち11位以下が3チーム。1区の入りが超スローペース。強烈に選手を襲う向かい風。主力選手の欠場。誰も予想できない結末が待ってました。

区間ごとに内容を振り返り、復路に向けての展望を考察できればと思います。

目次

第97回箱根駅伝往路結果

1区:大手町〜鶴見中継所(21.3km)

スタート直後は史上最も遅いと思われるスローペース。選手同士の駆け引きが頻繁に行われる形に

午前8時に大手町に一斉スタートする1区。初めは集団でレースは進行しますが、徐々に集団は縦長にばらけ始めて、仕掛けが起こると駆け引きレースから個人の走力と根性レースに変貌します。

スタート直後に一気に飛びたしたかと思えば、テレビで見ても明らかにわかるほどスローペースでスタートしました。正直に全員何が起こったのかと疑ってたと思います。昨年と比べると最初1kmの入りが約45秒も遅かったのでほぼジョグペース。さすがにこれはいけないと1km手前で東海の塩澤選手が飛びだしてレースは動き始めました。
しかしその後もなかなかピッチが上がらず10kmまで誰も離脱しない展開。例年は28分後半で通過するところを、今年は30分40秒。こうみるとかなり遅かったですね。11km過ぎで前年1区区間2位の國學院の藤木選手が飛び出してレースを引っ張り始めましたが思うように体が動かず引き離せない。お互いに目で牽制し合いながら誰かが仕掛けるのを待ちつつ、集団のまま17kmまで進行。1区仕掛けポイントの六郷橋で東洋の児玉選手がスッと前に出始めたところで東海、青山学院、日体、早稲田が先頭に付いていく形になり集団は縦長に。その後の下り坂で法政の鎌田選手が一気に先頭へ。下りでスピードに乗った法政、東海、青山学院、早稲田、創価の5校が先頭グループを形成。20kmからはペースを落とさなかった法政の鎌田選手と東海の塩澤選手の一騎打ちに。後半まで力を溜めていた法政の鎌田選手がスパート合戦を制し、見事区間賞を獲得しました。塩澤選手も粘りましたがわずか6秒及ばず。青山学院や早稲田、創価など力のある選手は順当に上位で襷渡しができました。有力校の中では駒澤と明治が15位、16位と出遅れました。

1区終了時の順位

  • 1位:法政大学(1:03:00)
  • 2位:東海大学(+:05)
  • 3位:創価大学(+:15)
  • 4位:神奈川大学(+:16)
  • 5位:早稲田大学(+:17)
  • 6位:青山学院大学(+:18)
  • 7位:城西大学(+:21)
  • 8位:日本体育大学(+:22)
  • 9位:東洋大学(+:24)
  • 10位:順天堂大学(+:31)

個人区間順位

  • 1位:法政大学:鎌田航生(1:03:00)
  • 2位:東海大学:塩沢稀夕(1:03:05)
  • 3位:創価大学:福田悠一(1:03:15)
  • 4位:神奈川大学:吞村大樹(1:03:16)
  • 5位:早稲田大学:井川龍人(1:03:17)

2区:鶴見中継所〜戸塚中継所(23.1km)

思ったよりもペースが上がらない2区。それでも67分台を連発し、圧倒的な記録も飛び出した…!

2区は1区で受けた流れのままにエース同士が真っ向勝負する区間。1.2区で出遅れると早くも優勝争いは厳しくなってしまう重要区間でもあります。

2位で襷を受けた東海の名取選手は早々に法政の河田選手をとらえ首位に浮上。その後ろでは3位集団として青山学院、神奈川、早稲田、創価、日体、城西、東洋と首位から落ちてきた法政が集団走をしていました。そこに現れたのは東京国際大学のヴィンセント選手。昨年3区で59分台というとてつもない記録を出した選手が7km手前でその集団に合流。襷を受けた時は14位でしたが、集団にはつかず全員を置き去りにして抜いていきました。創価の留学生のムルワ選手のみがついていき先頭の東海を追うと、9km過ぎで東海も抜いて首位に立ちました。権太坂前では創価のムルワ選手も置き去りにし単独首位に。4位の集団では10km過ぎで日体の池田選手が1人抜け出して前を追うと、東海に追いついて2人で並走。権太坂のポイントでは東洋、神奈川、城西、早稲田が続き、青山学院は遅れ始めていました。後ろからは拓殖の留学生ラジニ選手と駒澤の田澤選手が迫ってきていて、更に抜きあいが起こりそうな予感。東京国際は最後の上り坂で失速したものの最後まで首位を渡さず。タイムは前半にかなり飛ばした貯金があり、前年東洋の相澤選手が記録した1:05:57の記録を8秒更新する強烈な走りを見せました。日体と東海は最後まで並走して創価との差は2秒差まで詰めて3区へ。後ろの集団では東洋の松山選手が粘りを見せて前に出て、順位を4つあげました。駒澤の田澤選手は7つ順位を上げましたが、青山学院は7つ、早稲田は5つ順位を落としました

2区終了時の順位

  • 1位:東京国際大学(2:09:34)[14↗︎1]
  • 2位:創価大学(+:59)[3↗︎2]
  • 3位:東海大学(+1:01)[2↘︎3]
  • 4位:日本体育大学(+1:02)[8↗︎4]
  • 5位:東洋大学(+1:05)[9↗︎5]
  • 6位:拓殖大学(+1:14)[13↗︎6]
  • 7位:神奈川大学(+1:15)[4↘︎7]
  • 8位:駒澤大学(+1:39)[15↗︎8]
  • 9位:城西大学(+1:58)[7↘︎9]
  • 10位:早稲田大学(+1:59)[5↘︎10]

個人区間順位

  • 1位:東京国際大学:Y.ヴィンセント(1:05:49)
  • 2位:国士舘大学:R.ヴィンセント(1:07:09)
  • 3位:日本体育大学:池田耀平(1:07:14)
  • 4位:東洋大学:松村和希(1:07:15)
  • 5位:拓殖大学:J.ラジニ(1:07:17)

3区:戸塚中継所〜平塚中継所(21.4km)

スピード自慢の選手が当日変更で数多くエントリー。ここでも数多くの順位変動が。

ここ数年急激に重要度を増している3区。1.2区でスタートダッシュを切れても3区で失速すると一気に上位争いが厳しくなります。

首位で襷を受け取った東京国際大学の内田選手は自分のタイムを淡々と刻んでいく。後ろからは東海大学期待の1年生石原選手が区間1.2位のペースで着々と差を詰めていく展開。早々と創価大学をかわし、11km付近で東京国際大学を捉えると並ぶことはせず、前に出て首位交代。一度は後ろについて粘りましたが、つききることはできず。その後ろでは駒澤大学の小林選手と帝京大学の遠藤選手が快走。小林選手は序盤からハイペースで飛ばし10km付近までに4位へ浮上。1.2区で思ったより上位に行けませんでしたが、3区で立て直しできました。遠藤選手は3年連続の3区で1年時は区間3位、2年時は区間新で区間2位を記録した実力者。14位で襷をもらいましたが最終的には6位まで順位を上げる爆走でした。早稲田は順位を上げましたが、10000m27分台のタイムを持つ中谷選手の実力を考えると少し物足りない成績でした。東海に抜かれた創価大学の葛西選手は自分のペースをしっかり刻み、先頭だった東京国際大学を抜いて2位をキープしました。前半で出遅れないために非常に価値のある走りでした。苦しんだのは拓殖大学。なかなかペースが上がらず、2区であげた順位を7つ下げてしまいました。期待されていた中央大学の吉井選手と明治の小袖選手は一緒に並走したもののタイムは伸びず。上位に行ける実力があるものの、前に行けず苦しい展開を強いられました。

3区終了時の順位

  • 1位:東海大学(3:12:40)[2↗︎1]
  • 2位:創価大学(+:34)[2→2]
  • 3位:駒澤大学(+:56)[8↗︎3]
  • 4位:東京国際大学(+1:00)[1↘︎4]
  • 5位:東洋大学(+1:54)[5→5]
  • 6位:帝京大学(+2:07)[14↗︎6]
  • 7位:順天堂大学(+2:20)[11↗︎7]
  • 8位:早稲田大学(+2:23)[10↗︎8]
  • 9位:神奈川大学(+2:34)[7↘︎9]
  • 10位:日本体育大学(+2:36)[4↘︎10]

個人区間順位

  • 1位:東海大学:石原翔太郎(1:02:05)
  • 2位:駒澤大学:小林歩(1:02:22)
  • 3位:創価大学:葛西潤(1:02:41)
  • 4位:帝京大学:遠藤大地(1:02:56)
  • 5位:順天堂大学:伊豫田達弥(1:03:25)

4区:平塚中継所〜小田原中継所(20.9km)

細かいアップダウンと日陰の日向の繰り返しによる温度変化への対応が鍵。往路優勝を決定づける走りが見られた。

往路の中では重要度が低いが、ここで失速すると往路優勝に大きく影響する区間。今年も4区にドラマあり。

区間賞を獲得した同級生から襷を受けた東海の佐伯選手。序盤は落ち着いて入り、どれだけ粘れるかの勝負でした。2位には前回10区で区間新記録をマークした創価大学の嶋津選手が追ってくる状況で、実力からすると追いつかれる可能性も高いと考えられるためです。創価は東海に5.5km付近で追いつくとペースを守りながら徐々に東海を引き離して首位に浮上。そのまま走りきり、区間2位のタイムで2位とは1分以上離し、往路優勝に向け最高の流れをつくりました。東海はその後もペースが上がらず、後ろから迫る駒澤、東京国際にも抜かれてしまいます。最後の方は明らかにペースが落ち、順位を6位まで落としブレーキとなってしまいました。一方、4区で巻き返しを図れた有力校が2つ。1つは青山学院で、全日本では5区区間新をマークしたルーキー、佐藤選手。前とは1分以上離されている中で単独走で押し切る走りを見せました。順位こそ1つしか上がらなかったものの、区間4位の走りを見せました。2つ目は早稲田大学で前回の箱根で7区区間2位を記録した鈴木創士選手。タイム的には悪くないものの流れが悪かったですが、持ち前の粘り強い走りで順位を8位から3位に上げる快走を見せました。

4区終了時の順位

  • 1位:創価大学(4:16:03)[2↗︎1]
  • 2位:駒澤大学(+1:42)[3↗︎2]
  • 3位:早稲田大学(+2:03)[8↗︎3]
  • 4位:東京国際大学(+2:07)[4→4]
  • 5位:東洋大学(+2:10)[5→5]
  • 6位:東海大学(+2:20)[1↘︎6]
  • 7位:順天堂大学(+2:33)[7→7]
  • 8位:帝京大学(+2:43)[6↘︎8]
  • 9位:神奈川大学(+3:18)[9→9]
  • 10位:青山学院大学(+3:41)[11↗︎10]

個人区間順位

  • 1位:山梨学院大学:ポール・オニエゴ(1:02:15)
  • 2位:創価大学:嶋津雄大(1:02:49)
  • 3位:早稲田大学:鈴木創士(1:03:03)
  • 4位:青山学院大学:佐藤一世(1:03:09)
  • 5位:順天堂大学:石井一希(1:03:35)

5区:小田原中継所〜芦ノ湖[FINISH](20.8km)

標高差830mを駆け登る箱根駅伝の特殊区間。山を苦手としていたあの大学がついに山で覚醒!?

毎年数々の抜きあいが起こる箱根駅伝の5区。山では数々の順位変動が起こり、攻略すれば往路で上位進出を決定づけます。

首位で襷を受けた創価大学の三上選手は箱根駅伝の仮想5区と呼ばれる「激坂最速王」で優勝した実績があり、当初から期待されていました。2位と1分42秒の差があり、余裕を持ってスタート。後ろから前回区間賞の宮下選手、山の適性がある東海の西田選手、期待の1年生である駒澤の鈴木選手が追ってくる状況でした。東洋の宮下選手は5位で襷を受けるとすぐに早稲田大学と東京国際大学をかわして駒澤大学に追いつきました。しかし駒澤の鈴木選手は一切引かず、東洋の力を借りながら必死に並走。山上り終盤で東洋にはなされましたが最後まで遅れることなく、粘りの区間4位の好走で3位フィニッシュ。東洋は上りで駒澤に差をつけたものの、途中で足の爪を痛めるハプニングがあり最後の下りでタイムを伸ばせず区間3位。往路2位のフィニッシュでしたが駒澤との差はわずか7秒空けるまでにとどまりました。そんな中で創価の三上選手は駒澤、東洋よりも速い区間2位の好走。ながれを寄せ付けない走りで見事大学史上初の往路優勝に導きました。また、他の大学で好走を見せたのが帝京大学の細谷選手と拓殖大学の石川選手。帝京は毎年山で区間2桁順位になってしまい、往路で流れに乗れないことは多かったですが今年は見事区間賞。今年唯一の1時間11分台で走り抜きました。戦前の監督トークバトルで「山もしっかり準備している」といった発言は確かでしたね。また拓殖大学は主将の石川選手が快走。前年は同じ5区で区間11位でしたが、経験を生かし区間5位。チームを10位まで押し上げました。
大学を留年して再度箱根駅伝を目指した竹石選手は大きく注目されていましたが、またもや足がつってしまうハプニングが頻発し区間17位と失速してしまいました。本番前まで状態がよかっただけに残念でした。早稲田も1年生を起用しましたが3位から11位まで順位を落とすブレーキ区間に。昨年区間5位と好走した明治大学の鈴木聖人選手もペースが掴めず区間9位。苦しむチームを助けることはできませんでした。

以下が往路終了時点の順位とタイム差です。

5区(往路)終了時の順位

  • 1位:創価大学(5:28:08)[1→1]
  • 2位:東洋大学(+2:14)[5↗︎2]
  • 3位:駒澤大学(+2:21)[2↘︎3]
  • 4位:帝京大学(+2:30)[8↗︎4]
  • 5位:東海大学(+3:27)[6↗︎5]
  • 6位:東京国際大学(+3:57)[4↘︎6]
  • 7位:順天堂大学(+5:24)[7→7]
  • 8位:神奈川大学(+5:32)[9↗︎8]
  • 9位:國學院大学(+6:45)[12↗︎9]
  • 10位:拓殖大学(+6:54)[13↗︎10]
  • 11位:早稲田大学(+7:05)[3↘︎11]
  • 12位:青山学院大学(+7:36)[10↘︎12]
  • 13位:城西大学(+7:37)[16↗︎13]
  • 14位:明治大学(+7:56)[14→14]
  • 15位:日本体育大学(+8:30)[11↘︎15]
  • 16位:法政大学(+9:07)[15↘︎16]
  • 17位:国士舘大学(+9:40)[17→17]
  • 18位:山梨学院大学(+10:31)[19↗︎18]
  • 19位:中央大学(+11:09)[18↘︎19]
  • 20位:専修大学(+21:49)[20→20]
  • OP:学生連合(+17:39)

個人区間順位

  • 1位:帝京大学:細谷翔馬(1:11:52)
  • 2位:創価大学:三上雄太(1:12:05)
  • 3位:東洋大学:宮下隼人(1:12:09)
  • 4位:駒澤大学:鈴木芽吹(1:12:44)
  • 5位:拓殖大学:石川佳樹(1:12:50)




箱根駅伝復路の展望

往路終了時点で5位の東海大学が首位の創価大学とのタイム差が3分27秒であり、総合優勝の可能性があるのは5位までの5校だと思います。創価大学は往路の日本人選手が全員区間3位以内と高いレベルで安定感を見せており、復路でも余裕がある分大崩れはしないでしょう。その中で東洋大学、駒澤大学、帝京大学、東海大学はどこかで区間新を出すような爆走ができると逆転優勝の可能性がグッと近づくのではないでしょうか。

個人的には駒澤大学が一番の対抗馬だと踏んでます。東洋は復路で投入されると思われる西山選手がどこまで復調しているかが鍵ですね。帝京は大きく外さないとは思いますが、箱根経験者の8区鵜飼選手や山下りの出来がポイントか。東海大学は全員が初出走。前を走る大学のミスに漬け込んで一気にタイム差を縮めにいきたいですね。

シード権争いも白熱しそうな予感です。
注目校では早稲田大学、青山学院大学、明治大学が現在シード権外。選手層は3校とも厚いのでどこまで巻き返しなるか注目ですね。往路で検討した神奈川大学、拓殖大学あたりは後ろから迫ってくる恐怖に勝ち、粘りの走りができるのか期待しましょう。東京国際大学、國學院大学あたりも油断してるとシード権外になる可能性があり、10区まで見逃せない展開となると思います。

<追記(1.4)>
箱根駅伝復路が1.3に無事終了しました。
復路結果および総合結果の総括をした記事は以下になります。続けてどうぞ。

箱根駅伝を席巻したシューズって?

最近はナイキの厚底シューズによりレースの高速化が顕著になりました。軽量化、厚底により前への高い推進力が生まれるのでより快適に速く走れるので、好記録が連発するようになりました。

冬の時期は箱根駅伝に影響されて、新たにランニングを始める人がとても多いんです。もしやるならシューズに奮発して、箱根駅伝を走った選手と同じ体験出来たら最高ですよね。しかしデメリットは値段が高いこと。シューズに4.5万もかけるのは正直高いですよね。でも自分のモチベーションと最高の推進力を体験できるのであれば、一度調べてみてはいかがでしょうか?

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今回はこの辺で。

  • この記事を書いた人

たい太郎

野球好きのデータサイエンティスト|野球歴14年|プロ野球観戦は10試合/年|応援歌好き:外野席によく出没|ヤクルトファン歴10年|主にプロ野球・野球観戦に関するお役立ち情報や考察を発信|ときどき野球以外。

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