箱根駅伝で毎年発生する出走メンバーの当日変更。
基本はエントリーした選手の体調が優れないとき、走りの調子が上がらないときに用いられる制度。優勝候補に挙げられる大学では、この制度を存分に生かすためにチームの有力選手を補欠に登録して、各大学のエントリーを見て戦術を変える方法が使われている。
当日変更の人数が増えたことで戦術に変化は生まれるのだろうか。
当日変更人数の上限は4人から6人へ
これは補欠として登録された選手が全員交代可能な人数になる。
昨年、上限の4人を変更した大学は
- 國學院大学
- 明治大学
- 駒澤大学
- 創価大学
- 順天堂大学
- 拓殖大学
の6校。3名変更した大学は8校(学連選抜込)、2名変更は7校、どの大学も2名以上は変更していた。ちなみに2名変更の7校のうちシードを獲得したのは帝京大学のみ。4名変更した大学は4/6がシード権を獲得している。戦術的変更が出来る余裕のあるチームは変更人数が多い傾向があり、上位に食い込んでいる傾向があると言えるかもしれない。
変更枠を全て使っている大学の方が少ない中で、当日変更の枠が増えることでどんな影響が生まれるのか考えてみる。
目次
優勝候補、選手層の厚い大学
選手層の厚い大学はより戦術の幅を広げることができるだろう。例えば往路で戦術的な当日変更を2名行うと想定していたとき、万一の事態で交代しなければならない場合、往路結果による復路選手の交代はあと2名しかできない。となると戦術的変更を1名に減らしたりと緊急事態に備えて当日変更の制度を運用せざるを得なかったり、不調な選手をそのまま走らせるしかなく、結果に伸び悩むこともある。
昨年の東海大学では西田選手は本調子からは程遠かったが走らざるを得ない状況でタイムが伸び悩み(とはいえ区間7位は立派なのですが…)往路4位に終わり、一昨年の青山学院は4区の岩見選手が低体温症により失速、5区竹石選手も足が思うように動かず区間13位と前年より大きくタイムを落としてしまった。
これが当日変更の枠が増えると、仮に往路で最大枠4名を変更しても復路で2名の枠が残り緊急事態への備えが効くため、誰を使うか悩むぐらい戦力が充実している大学にとってはより調子のいい選手を起用できるルール変更といえる。
シード県狙い、選手層に課題のある大学
選手層の厚くない大学は他校のエースと張り合える力を持つ選手がどちらかといえば少ない。特に最近では選手層の厚い大学が本当に増えているので、本戦でも厳しい戦いを余儀なくされる。エントリーされる16人の中でも実力差が離れていることがあるので、当日変更の人数が増えることは戦術的な意味であまり恩恵を受けないだろう。
しかし、本来の目的である選手の体調管理・安全な大会運営の観点ではしっかりと効力を発揮するだろう。下位に沈んでしまうチームは上級生の方が持ちタイム、実力ともにチーム内で上の傾向があるため、おそらく無理して起用された場面もあったと考えられる。当日変更の枠が増えたことで調子の悪いエントリー選手より調子のいい補欠選手を起用する戦術は取りやすくなったはず。本来ならば16人全員がピーキングを合わせられると最高なのだが…。
監督には嬉しい制度、選手にとっては怖い制度
監督にとって、以下の面でメリットがあると考える。
- よりエース級選手を補欠に回せるので、事前の戦術流出が防ぎやすくなる
- 実力以上に選手の調子による起用をしやすくなる
- 無理して出場する選手を減らせる
この制度によるデメリットは監督目線ではあまりないだろう。
一方、選手にとってはどうだろうか。以下のデメリットが考えられる。
- 最後のピーキングを失敗すると、その年どんなに調子が良くても簡単に外される
- 各大学の動向を伺うための当て馬エントリーが増え、事前に出場できないことがわかってしまう
他にもあると思います。逆にしっかりと監督にアピールできれば、実績が少なくても起用される選手は出てきそうですね。
今回が当日変更の人数が変更となって初めての大会。12/29に各大学がどのような区間配置をしてくるのか今からとても楽しみです。
それより先に12/10の16人エントリー選手の発表ですね。まずここに選ばれないと出走できないので。こちらから注目しましょう。
今回はこのへんで。また箱根駅伝に関して気になる内容があれば書きますね。
最後までご覧いただきありがとうございました!!